日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
慢性活動性肝炎合併例における外科手術
小野 二六一島山 俊夫指宿 一彦児玉 吉明迫田 晃郎香月 武人
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 17 巻 8 号 p. 1527-1531

詳細
抄録

慢性活動性肝炎 (CAH) 合併例における手術の予後に対するCAHの影響を検討した. CAHは手術時の肝生検にて病理組織学的に診断した. 胃・胆道疾患5例, 門脈圧亢進症9例であった. 病理組織学重症度をRappaportのZone分類にしたがい, 術後の合併症との関連を検討した. 術後合併症は, 57%にみられ, 血清GOT, GPTの上昇, 高アミラーゼ血症, 腹水, 胸水, 横隔膜下膿瘍そして肝不全などがあり, 3例の死亡をみた. 病変がZone3すなわちcentrilobular areaまで及ぶ程合併症がみられる傾向にあった. 門脈圧亢進症では, 特にα-グロブリンの変動が著しいほど合併症の発生をみた. 以上, CAH合併例では, 手術に際し慎重な配慮の必要性が示唆された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top