日本消化器外科学会雑誌
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黒色表皮腫に併存した胃癌の1例
近藤 正男近藤 征文澤口 裕二白戸 博志大沢 昌平大森 一吉小川 秀彰内野 純一
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1991 年 24 巻 1 号 p. 108-112

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抄録

比較的まれとされる黒色表皮腫に併存した進行胃癌症例を経験したので報告した. 症例は50歳の男性で, 黒褐色皮疹と疵贅を主訴とし, 黒色表皮腫と診断された. 精査の結果, 胃体上部のIIC類似型進行胃癌と食道粘膜のびまん性乳頭状増殖を認めた. 胃全摘術を施行したが, 大動脈周囲の転移性リンパ節腫大をみとめ, 根治切除とはならなかった.
黒色表皮腫と悪性腫瘍との関係は古くからいわれているが, 特に胃癌の合併が多く報告されている. われわれの文献検索では, 本邦での過去10年間に黒色表皮腫に併存した悪性腫瘍は56例であり, そのうち45例 (80.4%) に胃癌を併発していた. 皮膚症状は胃癌の発見につながるものではあるが, 早期胃癌の頻度は記載の明かな31例中わずかに2例に過ぎなかった. われわれの症例の反省からも, 今後黒色表皮腫の患者に対しては, 特に胃癌の合併を念頭に置いた定期検診を行うべきと考える.

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