日本消化器外科学会雑誌
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手術不能胃癌に対する内視鏡的OK-432局注療法
落合 正宏船曵 孝彦天野 洋杉上 勝美藤田 真司二渡 久智松原 俊樹山口 久亀井 克彦福井 博志長谷川 茂新井 一史森 紀久朗菅沼 正司森下 浩谷口 正美浦口 貴笹山 可則四方 敦
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1991 年 24 巻 10 号 p. 2615-2620

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抄録

15例の手術不能胃癌患者に内視鏡的にOK-432を腫瘍内反復注入した. 内視鏡所見にて7例に局注初期に腫瘍表面の発赤を認め, うち5例はその後著明に減少した. 発赤しなかった例では形態的変化も乏しかった. 治療終了後の判定ではCR2例, PR3例で奏効率は33.3%であった. 経時的に組織学的検索を行った10例についてみると, 腫瘍細胞の変性を5例に, 壊死巣の出現を4例に認めたほか, 全例に間質炎症細胞の増加を認めたが, なかでも形質細胞優勢型が最も多く, これらの例が最も奏効率が高かった. 全身的免疫パラメーターとして遅延型皮膚反応とリンパ球幼若化反応をみたが, PPD以外治療後の有意の上昇はなかった. 生存期間については他の治療法の症例と比較して有意の延長はなかったが, 有効例を無効例と比較すると有意差を認めた. 合併症として腫瘍出血が問題であった. 発熱は高頻度に出現したが, 熱が高いものの方が局所効果が良好であった.

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