日本消化器外科学会雑誌
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著明なperineural invasionを示した大腸癌骨盤内再発の1例
二渡 久智落合 正宏船曵 孝彦天野 洋杉上 勝美藤田 真司山口 久亀井 克彦松原 俊樹福井 博志長谷川 茂新井 一史森 紀久朗
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1991 年 24 巻 3 号 p. 945-949

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抄録

癌における神経周囲浸潤は膵胆道系に高頻度に認めるのみならず, 欧米ではS状結腸癌など他の消化器癌にも認め, 特に直腸癌に多いとの報告がある.しかし, 膵胆道系以外については本邦では十分な検討がなされていない.われわれはS状結腸癌の再発症例で, 外科的剥離面と強く関連したと思われる神経周囲浸潤が著明な症例を経験した.症例は50歳, 女性, S状結腸癌術後の骨盤内再発例で左臀部から, 左大腿部の激痛を再発症状とし骨盤内臓器全摘術施行した.病理組織学的検討で腫瘍は直腸, 膀胱間隙を中心に発育し, 左中直腸動脈起始部への浸潤が著明でこの部位に著しい神経周囲浸潤が観察され, 浸潤の進展距離は再発腫瘍塊辺縁より約1.0~1.5cm離れた部位に及んでいた.本例の初回摘出標本では断端に及んではいないものの中等度の神経浸潤を認めた.神経周囲浸潤が局所再発要因, 局所再発時痛の原因の1つとなっている可能性を示唆する症例と考え報告した.

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