1992 年 25 巻 3 号 p. 864-867
後区域門脈枝から延び出した腫瘍塞栓が門脈本幹をほぼ閉塞している原発性肝細胞癌に対して, 門脈合併切除を含む拡大肝右葉切除を行った.術前の肝予備能は, 比較的良好に保たれており, 術後の合併症もなく経過した.残肝の再生は良好で, 術後の肝予備能は術前値に復していた.残肝再発に対して肝動脈内に抗癌剤を注入するinterventiona langiography (IA) を合計6回行った.現在肺転移を認めるものの, 術後2年10か月を経過し生存中である.
門脈本幹に腫瘍塞栓を認めるものは高度進行癌であることを考慮し, 残肝再発に対するIAさらに全身的な抗癌剤の投与が必要である.