日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌肝転移に対して肝切除と術後肝動注多剤免疫化学療法を施行した4例の検討
岡 正朗内山 哲史清水 良一矢野 一麿西田 峰勝硲 彰一下田 宏二鈴木 道成原田 菊夫鈴木 敞
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1993 年 26 巻 4 号 p. 1072-1075

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抄録

肝臓内には, Kupffer細胞やPit細胞をはじめとする種々の非実質細胞が存在しており, これらの細胞は強い抗腫瘍活性を持つことが報告されている.そこで, 肝非実質細胞および腫瘍浸潤リンパ球を活性化することにより残存腫瘍細胞を制御することが残肝再発防止に有効と考え, 4例の大腸癌肝転移症例に肝切除後, 教室独自の肝動注多剤免疫化学療法を行った.すなわち, 開腹時に肝動脈内にカテーテルを留置, 皮下埋め込み式リザーバーよりinterleukin-2 (IL-2), OK-432, adriamycin (10mg) およびcyclophosphamide (300mg) を肝動注し, さらにOK-432を筋注, famotidineを経口投与した.対象となった4例は, H1が2例, H2およびH3が1例であり, 肝切除後動注療法を施行しなかった9例 (H1が7例, H2が2例) と比較した.その結果, 40か月生存率は, 非動注例の45%に対して, 動注例100%と良好な結果を得た.また, 本動注療法により末梢血natural killer活性の増強を認めた.

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