日本消化器外科学会雑誌
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甲状腺腺腫をともなったZenker憩室の1例
上松 俊夫土江 健嗣岩田 祐輔青山 貴彦久納 孝夫堀 明洋早川 直和
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1993 年 26 巻 7 号 p. 2026-2030

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抄録

Zenker憩室は比較的まれな疾患でありその手術例の報告も少ない. われわれは甲状腺腺腫を伴ったZenker憩室の1例を経験したので報告する. 症例は73歳の男性. 5年前から嚥下障害があり, 1年前から前頸部の腫瘤に気づいていた. 頸部CT検査にて, 右葉の甲状腺腫とは別に, 左の頸部に特徴的な楕円形の含気を認めZenker憩室の合併を疑った. 食道造影と食道内視鏡検査にて嚢状のZenker憩室の存在を確認した. 手術は甲状腺右葉切除術とZenker憩室切除術を施行した. 甲状腺腫は大きさ90×70×35mmの濾胞状腺腫で, Zenker憩室の大きさは25×15mmで, 扁平上皮と薄い筋層から成る真性憩室であった. Zenker憩室は内圧性の憩室であり, 自験例では, 甲状腺腫瘍が偶然合併し気管や食道を圧排することにより, Zenker憩室の増大や嚥下障害の発生に間接的に関与したと考えられた.

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