日本消化器外科学会雑誌
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血清CA19-9高値を呈した脾類表皮嚢胞の1例
島多 勝夫桐山 誠一山下 芳朗唐木 芳昭田沢 賢次藤巻 雅夫都築 重利北原 修一郎稲葉 鋭
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1993 年 26 巻 3 号 p. 942-946

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抄録

比較的まれとされる血清CA19-9高値を呈した脾類表皮嚢胞の1例を経験したので報告する.
症例は9歳の女児で, 上腹部膨満感を主訴に来院した.左肋骨弓下に比較的軟らかい巨大腫瘤を触知し, 画像上, 巨大脾嚢胞と判明, 術前の経皮的吸引細胞診では扁平上皮細胞の混在を認めた, また血液学的検査では, 血清CA19-9が860U/mlと高値を呈した.以上より, 脾類表皮嚢胞の診断のもと脾摘出術を施行した.病理組織学的には嚢胞壁は重層扁平上皮におおわれており, 免疫特殊染色 (CA19-9, CEA) にて同上皮細胞に一致して強い陽性所見を認めた.術前高値を呈した血清CA19-9は, 脾摘術後約1か月で正常化した.血清CA19-9高値を呈した脾類表皮嚢胞の報告1, これまでに2例報告されているのみである.症例によってはCA19-9が本疾患における補助診断の指標になりうると思われた.

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