日本消化器外科学会雑誌
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閉塞性黄疸患者に対する減黄後胆汁中ビリルビン濃度測定の意義に関する検討
熊沢 健一大谷 洋一窪田 公一浅海 良昭塩沢 俊一大石 俊典芳賀 駿介梶原 哲郎
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1771-1777

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抄録

閉塞性黄疸患者は術後肝不全などの合併症が多い. そこで術前肝機能の評価をより正確に行う目的で減黄を行った68例を対象に排泄される胆汁中の1日あたりのビリルビン量 (以下, V.Bilと略記) を測定し肝機能としての有用性につき検討した. この結果, V.Bilは平均279±171mg/dayを示し, 減黄率b値, ICG消失率 (以下, K0.5, K3.0と略記), Rmaxと強い相関を示した (p<0.001). 2区域以上の肝切除を行った8例のうち術後肝不全死亡した2例は術前V.Bil, 減黄率b値, K3.0, Rmaxが低く, とくにV.Bilは耐術例と完全に分けることができた. V.Bilに影響を与える因子を検討した結果, 減黄前の血清ビリルビン値とは関係なく, 年齢, 胆道感染の有無, 閉塞部位に影響されていた. 以上より, V.Bilは閉塞性黄疸患者の肝機能の評価に有用であり, さらに簡便かつ早期に測定できる点. 片側ドレナージでも評価ができる点, 腎機能に影響されない点などの利点を備えていた.

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