日本消化器外科学会雑誌
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進展様式からみた胆嚢癌の根治術
塚田 一博黒崎 功内田 克之白井 良夫畠山 勝義
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1994 年 27 巻 10 号 p. 2337-2340

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抄録

過去12年間の肉眼的に根治手術がなされた胆嚢癌102例について, 進展様式ならびに手術成績をTNM分類とくにTカテゴリーを用いて評価した.術式は標準手術 (準標準手術を含む) が69例, 拡大手術 (肝葉切除または膵頭十二指腸切除) 33例で, 手術死亡は再手術で標準手術の施行された1例 (全体の1%) であった.T3, T4では切除断端癌陽性 (R1) 例がそれぞれ37.5%, 52.6%とT1, T2に比較して有意に高く, とくに肝門型に多く認められた.手術死亡, 他病死を含んだT1 (N=15) の累積5年生存率は87.5%, T2 (N=44) は59.5%, T3 (N=24) は28.7%, T4 (N=19) は26.6%で, それぞれの生存曲線にはT3・T4間を除いて有意の差が認められた.Tカテゴリーは手術方針の決定に有用であった.T3, T4の高度進行癌では, 拡大手術を適応しても切除断端陽性手術となりやすく長期的予後もいまだ不良であることから, 集学的治療が必要である.

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