日本消化器外科学会雑誌
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膵頭部領域癌に対する手術術式の選択と補助療法
中尾 昭公原田 明生野浪 敏明金子 哲也井上 総一郎武内 有城細野 二郎野本 周嗣高木 弘
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1994 年 27 巻 10 号 p. 2341-2346

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抄録

膵頭部領域癌切除例について浸潤形式と再発様式を検討した.リンパ節転移は膵頭部癌 (101例) で70.3%, 下部胆管癌 (23例) で39%, 乳頭部癌 (28例) で42.9%に認め, 胃周囲リンパ節転移は膵頭部癌では6番に11.8%認めたが, 下部胆管癌では認めず, 乳頭部癌では4番に3, 6%認めた.16番転移は膵頭部癌で24.8%, 下部胆管癌で8.7%, 乳頭部癌では認めなかった.膵頭部癌では肉眼的門脈浸潤度と予後は相関した.乳頭部癌では膵浸潤陽性例の予後が不良であった.神経浸潤は膵頭部癌88.1%, 下部胆管癌82.6%, 乳頭部癌14.3%に認め, 膵頭部癌で膵外神経叢浸潤陽性はew (+) の主要因となり予後不良であった.膵頭部癌に対する術中照射はstage IIIでは有効性が認められたがstage IVでは術後早期に肝転移死亡するものが多く, その有効性は認めなかった.下部胆管癌と乳頭部癌はPPPDの適応と考えられた.膵頭部癌の治療成績向上のためには術後早期の肝転移予防策と治療法の開発が重要である.

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