日本消化器外科学会雑誌
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拡大肝切除時における門脈部分動脈血化の肝再生に与える影響に関する基礎的検討
大多和 哲宮崎 勝尾形 章林 伸一中島 伸之
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1996 年 29 巻 9 号 p. 1873-1880

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抄録

雑種成犬36頭を用いて70%の拡大肝切除 (70% HTX) を行い, 脾動静脈シャントによる門脈の部分動脈血化を試み, 残存肝機能および肝再生にあたえる影響を, 肝切除 (1群), 肝切除+脾摘 (II群), 肝切除+脾摘+シャント (III群) の3群を作製し検討した. 動脈血中ケトン体比は, III群がほかの2群に比べ, 1PODにおいて有意に高値を示し (p<0.05), ヘパプラスチン値では, 4および7PODにおいて, III群で高値を示した (p<0.05). 肝DNA合成能は, 4, 7PODともにIII群で最も強い亢進を認め (p<0.05), 再生肝のMIB-1免疫組織染色でもIII群が最も強いlabelling indexを示した. 大量肝切除時の門脈の部分動脈血化は, 残存肝のエネルギー供給を増加させることにより残存肝の肝再生を促進させ肝機能回復を速めることが示唆された.

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