日本消化器外科学会雑誌
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胃癌, 大腸癌切除後の骨塩量の推移に関する検討
金丸 太一宇佐美 真笠原 宏磯 篤典小谷 穣治阪田 和哉山本 正博斎藤 洋一
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1996 年 29 巻 5 号 p. 965-970

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抄録

胃癌32例 (以下, GC群), 大腸癌15例 (以下, CC群) の切除症例を対象に, dual energy X-ray absorptiometry法を用いて, 術前, 1年後に腰椎のbone mineral density (BMD, g/cm2) を測定し, その変動につき経時的な検討を行った.
1年後BMDはGC群男性で0.89±0.15 (術前0.93±0.17), GC群女性0.65±0.13 (0.68±0.13), CC群男性0.88±0.16 (0.97±0.20) で術前に比べて有意に低下していた (p<0.05).GC群, CC群の男性対女性の1年BMD変化率 (%) は,-4, 1±6.7:-5.7±5.3,-2.3±2.9:-0.3±4.0で差はなかった.
胃全摘例のBMD変化率は-9.5±5.7でBillroth Iの-1.8±5.5, Billroth IIの-4.5±4.8, 結腸直腸切除例の-1.7±3.3に比べ有意に低かった (p<0.05).Billroth I, Billroth II, 結腸直腸切除例との間にBMD変化率の差はなかった.
消化器外科術後1年でBMDは低下しとくに胃全摘例ではその程度は強く, 経時的なBMDの測定を行い, 低下例に対しては早期からの対策が必要であると考えられた.

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