日本消化器外科学会雑誌
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転移性肝癌に対する経腋窩動脈的カテーテル留置による肝動注の経験
森脇 義弘原田 博文国崎 主税今井 信介城戸 泰洋小林 俊介笠岡 千孝蘆田 浩
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1997 年 30 巻 1 号 p. 107-110

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抄録

転移性肝癌12例に対して, 経腋窩動脈的に肝動注用カテーテル留置を行い, 動注療法を施行した.2名の放射線科医が, セルディンガー法により左腋窩動脈を穿刺し, シースイントロデューサーは使用せず, カテーテルを直接に選択的に肝動脈に留置し, 外科医と交代してリザーバーを左前胸部皮下ポケットに埋め込んだ.術後は左上肢のみ安静とし, 歩行は可能とした.重篤な合併症はなく, カテーテル留置の操作時間は止血時間も含め平均118.8分, 入院期間は術前検査, 術後入院中の動注療法の期間も含め平均10.3日であった.肝転移巣に対する直接効果は評価可能な11例中CR1例, PR4例, NC3例, PD3例, 奏効率45%であった.平均生存期間はH1+H2症例では775.4日, H3症例では626: 2日であった.本法は患者にとっても低侵襲で入院期間も短く, 複数科が協力して行うことにより短時間で最小限の人員で済み, 肝動注用のカテーテル留置法として有用な方法と思われる.

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