日本消化器外科学会雑誌
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術後経過年数別にみた胃癌再発危険因子に関する検討
森脇 義弘小林 俊介原田 博文国崎 主悦今井 信介城戸 泰洋笠岡 千孝
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1998 年 31 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

胃癌の再発に関して, 術後数年間無症候で経過したことを前提にすると, 各再発危険因子の重要度が手術時に推定されたものとどの程度異なるかを検討した.自験胃癌症例から術後1年, 2年, 3年, 4年, 5年以上無症候経過例を抽出し, 各経過年数以降における各再発危険因ごとの無症候期間を比較した.s因子 (+,-), inf因子 (α, β, γ) では, 3年, 5年以上経過例でも無症候期間に有意差を認め続けたが (p<0.01), n因子 (n0とn1) では4年以上, ly因子 (ly0+1とly2+3) では3年以上, 組織型 (分化型と未分化型) では2年以上経過した時点で有意差が認められなくなった-各術後経過年数以降の再発形式は, s因子, inf因子では, 長期経過後も術直後と同様, s+例, infγ 例で局所再発, 腹膜播種再発が多かったが, n因子では, 術直後からと異なり長期経過後は, n0例で腹膜播種再発やリンパ節再発, n2例で局所再発や腹膜播種再発が多かった.再発危険因子の重要度は, 術後経過年数ごとに異なり, 経過観察上注意を要すると思われた.

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