日本消化器外科学会雑誌
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進展様式, 予後からみた漿膜下層浸潤胆嚢癌手術術式の検討
須藤 隆之菅野 千治船渡 治新田 浩幸村上 雅彦川村 英伸佐々木 亮孝斎藤 和好
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1998 年 31 巻 3 号 p. 842-848

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抄録

漿膜下層浸潤胆嚢癌 (以下, ss癌) 切除例20例の進展様式, 予後からみた合理的根治術式について検討した. ss癌の5生率は54.4%であった. ss癌治癒切除例の生存率は非治癒切除例に比べ有意に良好であった (p=0.0035). リンパ節転移陰性例の生存率は陽性例に比べ有意に良好であった (p=0.047). ss癌のリンパ節転移率は60%であり, 転移部位はNo.12, 13a, 8が多く, No.13a, 8の跳躍転移を認めた.肝床切除, R2郭清例においてNo.13a再発, 肝床切除兼膵頭十二指腸切除例に肝再発を認めた. 在院死亡, 術後肝不全を認めなかった. リンパ節転移陽性長期生存ss癌は, 全例肝S4下5切除+全胃温存膵頭十二指腸切除 (以下, PPPD), R3-ex郭清であった. 以上より, 明らかなn4 (+) 以外のss癌に, 肝S4下5切除+PPPD, R3-ex郭清が合理的であると思われた.

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