日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
リンパ節転移を認めた腫瘍径2cm未満の直腸smカルチノイドの2例
永野 靖彦池 秀之小松 茂治岩田 誠一郎安藤 浩郷 克巳高橋 正純杉田 昭大木 繁男嶋田 紘
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 7 号 p. 2045-2049

詳細
抄録

症例1: 42歳の女性. 下部直腸に1cmのIsp型ポリープを認めポリペクトミーを施行した. 組織診断はカルチノイド, 深達度sm, 断端陽性および脈管侵襲陽性であったため, 超低位前方切除術を施行した. 病理診断で直腸傍リンパ節転移を認めた. 症例2: 61歳の男性. 直腸に0.8cmのIsp型のカルチノイドを認めポリペクトミーを施行した. 病理診断は深達度sm, 断端陽性および脈管侵襲陽性であったため, 超低位前方切除術を施行し, 直腸傍リンパ節に1個転移を認めた. リンパ節転移を認めた腫瘍径2cm未満のsmカルチノイドは自験例を含め18例が報告されている. これらの91.7%に脈管侵襲が陽性であり, 脈管侵襲は転移の危険因子であると考えられた. 治療は5mm未満では内視鏡的切除を, それ以上では局所切除を施行し, 病理組織所見で脈管侵襲陽性またはsm2以上の症例はD2以上のリンパ節郭清を伴う根治切除術が必要と考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事
feedback
Top