日本消化器外科学会雑誌
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回腸原発腹膜偽粘液腫の1例
松久 忠史秦 温信松岡 伸一安念 和哉植村 一仁菊地 弘展佐野 文男
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2000 年 33 巻 8 号 p. 1520-1524

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抄録

初回手術時には原発巣が不明で, 約6か月後の再手術時に小腸原発と判明した腹膜偽粘液腫の1例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性. 右側腹部痛と発熱を主訴に当院を受診し上行結腸の内側に腹膜刺激症状をみとめたため当科に入院した. 血液検査では高度の炎症所見, CTでは上行結腸の内側に腫瘤像をみとめた. 腹腔内膿瘍を疑い緊急手術(結腸右半切除術)を施行, 腸間膜に主座を置くゼリー状物質と膿瘍が存在し, 一部に粘液産生性の高分化腺癌をみとめ, 腹膜偽粘液腫の診断を得たが, 原発巣は不明であった. 5か月後, CTで右腸骨窩に腫瘤像をみとめ再発の診断のもと再手術を施行, 回腸に腫瘍が存在し病理組織学的に初回病巣の原発巣と判明した. 腹膜偽粘液腫において原発巣が不明な場合には, 小腸原発も念頭に置いた慎重な検索が必要である.

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