日本消化器外科学会雑誌
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大腸多発癌の臨床的検討
中江 史朗川口 勝徳沢 秀博松本 逸平高松 学浜岡 剛金田 邦彦藤原 澄男寒原 芳浩河野 範男
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2001 年 34 巻 12 号 p. 1718-1726

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抄録

はじめに:大腸多発癌の臨床的特徴より多発癌のリスクファクターを把握し, 術後のfollow upの方法を考察した.方法:最近16年間の大腸癌切除828例を単発癌と多発癌に分類し, 臨床的に比較検討した.結果:多発癌は64例(7.7%)で, 同時性47(5.7%), 異時性17例(2.1%)であった. 同時性計102病巣の分布は単発癌と差は無かった. 異時性第1 癌は右側結腸2(12.5%), 左側結腸12(75.0%), 直腸2(12.5%), 不明1で, 単発より左側が有意に高率であった. 第1~第2癌までは最長18年で, 平均7年3か月であった. 5年以内に第2癌が進行癌で発見された4例中2例は術前に口側の検索が不十分, 2例は腺腫併存例で, 術後定期的全大腸内視鏡がされていなかった. 多発癌で単発癌より高率であった因子は腺腫の併存(多発93.3%, 単発73.1%), 胃癌の合併(多発12.8%, 単発4.8%)であった.考察:多発癌のリスクファクターとして腺腫の併存, 胃癌の合併, および大腸癌家族歴の存在が考えられ, 異時性第2癌の早期発見にはこれらの因子を念頭に置き, 術後全大腸内視鏡による定期的follow upが重要である.

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