日本消化器外科学会雑誌
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術後SIRS症例における単球HLA-DR抗原測定の有用性
今村 祐司竹末 芳生小倉 良夫大毛 宏喜赤木 真治村上 義昭檜山 英三横山 隆
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2001 年 34 巻 3 号 p. 205-209

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抄録

外科侵襲後に認める単球HLA-DR抗原の減少は免疫応答の低下と相関すると考えられている. 消化器手術後のSIRS症例を対象に, 単球HLA-DR抗原の変動と術後感染合併の有無, 術前危険因子との関係について検討した. 21/28例に術後感染を合併し, 術前危険因子 (+) 症例 (肝硬変2例・DM 5例・化学療法1例・放射線療法3例) の単球HLA-DR抗原陽性率は, 第1~2 病日52.4±6.2%, 第3病日63.0±7.0%. 第7 病日71.8±6.3%で術前危険因子 (-) 術後感染例に比べ, 術後早期から有意に低値で推移した. 一方, SIRS期間の平均日数は術後非感染例2.1日, 術前危険因子 (-) 術後感染例4.3日, 術前危険因子 (+) 術後感染例7.4日であった. 以上の結果は, 術後SIRSを呈した術前危険因子 (+) 症例では免疫系の抑制が遷延し, 感染症合併のリスク評価に単球HLA-DR抗原の測定が有用であることを示す.

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