日本消化器外科学会雑誌
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空腸カルチノイド腫瘍の1例
名取 志保長田 俊一亀田 久仁郎久保 章竹川 義則嶋田 紘
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2003 年 36 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

症例は73歳の男性. 2001年12月25日左側腹部痛を主訴に当院内科を受診した. 来院時左側腹部に, 圧痛と腹膜刺激症状を認め, 左側結腸憩室炎の疑いで外科に入院した. 入院時の腹部CTで左側腹部に腸管壁の肥厚像と周囲のけば立ちを認めた. 絶飲食, 抗生物質による治療で炎症所見は改善したが, 間歇的な腹痛発作が遷延し, CT所見で腫瘤性病変を認めたため, 2002年1月8日手術を行った. 術中所見で, Treitz靭帯より50cmの空腸に6cm大の腫瘤性病変と, その腸間膜側に径4cm大のリンパ節を認め小腸部分切除術を行った. 空腸の腫瘍は3型で, 深達度se, リンパ節転移を伴うカルチノイド腫瘍と診断された. 術後早期に, リンパ節再発によると考えられる間歇的な腹痛発作が再燃し, 全身状態が衰弱して4月27日死亡した. 空腸原発のカルチノイドは本邦ではまれであり, 文献的考察を加え報告した.

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