日本消化器外科学会雑誌
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胆嚢壁内動静脈奇形の併存が認められた特発性胆嚢穿孔の1例
吉川 智岩瀬 和裕檜垣 淳三方 彰喜宮崎 実井手 春樹野中 健太郎今北 正美上池 渉
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2004 年 37 巻 8 号 p. 1407-1411

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抄録

症例は71 歳の男性で, 腹痛にて来院した. 汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹手術を施行した. 腹腔内に胆汁性腹水を認めた. 胆嚢の体部は壊死していた. 胆嚢穿孔と診断し, 胆嚢摘出術を施行し, Cチューブを留置した. 切除標本では, 胆嚢の壁肥厚はなく, 胆石は認められなかった. 術後の胆道造影では結石や胆道走行異常を認めなかった. 病理組織学的検索では, 胆嚢壁に胆嚢炎の所見は乏しく, 体部に穿孔を認め, その周辺の血管には血栓の形成ならびに動静脈奇形を認めた. 動静脈奇形を伴った特発性胆嚢穿孔の本邦報告例は自験例を含めて2例であった. 特発性胆嚢穿孔には末梢動静脈奇形が一因となっている症例も存在するのではないかと考えられた.

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