日本消化器外科学会雑誌
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術前診断が困難であった肝原発類上皮血管内皮腫の1例
森 隆太郎三浦 勝高橋 徹也小尾 芳郎山中 研阿部 哲夫中下 彩子藤本 秀明中村 恭一
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2004 年 37 巻 5 号 p. 539-544

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抄録

症例は67歳の女性で, 検診で胸部異常陰影を指摘され, 胸部CTを施行したところ炎症性変化のみであったが, 肝にlow density area (以下, LDA) を指摘され当院紹介受診となった. 腹部CTで, 肝S7に4×2.5cmのLDAを認め, 動脈相から平衡相にかけて辺縁部の造影効果を認めた. MRIではT1強調画像で低信号, T2強調画像では一部高信号な像を呈し, 血管造影検査では辺縁に血管増生を伴う淡い腫瘍濃染像を認めた. 非典型的ではあるが胆管細胞癌を疑い, 肝右葉切除術を施行した. 腫瘍は, 白色, 弾性軟で境界は明瞭だが辺縁のspiculationを認めた. 病理組織所見で, グリソン鞘への浸潤性発育を示し, 著明な硝子様繊維性間質を伴った肝類上皮血管内皮腫 (以下, EHE) と診断した. 文献上, 肝原発EHEの本邦での報告は63例, 切除は13例と少数であり, 本疾患の診断, 治療, 予後について考察を加えた.

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