日本消化器外科学会雑誌
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横行結腸浸潤を呈した肝内胆管細胞癌の1例
三松 謙司加納 久雄金田 英秀久保井 洋一桂 義久大井田 尚継
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2005 年 38 巻 8 号 p. 1330-1334

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抄録

症例は60歳の男性で, 陰茎癌の手術既往があった. 不明熱と腹部超音波検査上, 肝腫瘍を指摘され入院となった. 腹部CTで肝右葉にlow density massを認めた. 腹部血管造影検査で腫瘍は乏血性であった. 確定診断目的に腫瘍穿刺吸引細胞診を行い, 扁平上皮癌と診断され, 陰茎癌肝転移を疑い手術を施行した. 開腹所見では, 腫瘍は癌臍を伴い手拳大で横行結腸に直接浸潤していた. 手術は肝右葉切除, 右半結腸切除, 肝門部リンパ節郭清を施行した. 病理組織診断結果は, 低分化型胆管細胞癌であった. 胆管細胞癌が結腸浸潤を来した機序は, 腫瘍と結腸が炎症性に癒着し, 新生血管が増殖して直接浸潤したものと考えられた. 肝内胆管癌の他臓器合併切除例の成績は不良との報告があり, 今後厳重な経過観察が必要であると考えられた.

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