2007 年 40 巻 10 号 p. 1684-1689
特異な肉眼検査所見を呈した十二指腸原発follicular lymphomaの1切除例を経験したので報告する. 症例は62歳の女性で, 7年前に十二指腸潰瘍による出血に対し, 直達止血術が施行された. その後は定期的に上部消化管内視鏡検査を受けていたが, 今回は心窩部不快感を主訴に再検された. 十二指腸下行脚に多発する粘膜の隆起性病変と, ヒダの腫大, 融合によるワッフル様の所見を認め, 同部からの生検でfollicular lymphomaと診断された. 画像上他臓器病変や縦隔・腹腔内リンパ節腫大は認められなかったため十二指腸原発と診断し, 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的検査で#13,#17リンパ節に転移があり, Ann-Arbor分類II1E期, Naqvi分類II期となった. 病期と完全切除が得られたことから術後化学療法は行っていない. 術後7か月目の現在も再発なく外来経過観察中である.