Intraductal papillary-mucinous neoplasm (以下, IPMN) に対する手術後7年を経て, 腹膜偽粘液腫として再発を来した症例を報告する. 症例は口渇感を自覚した58歳の男性で, 近医にて膵頭部嚢胞性腫瘍を指摘された. CT, MRCP, USにて膵頭部に多房性嚢胞性腫瘤と主膵管拡張を, EUSでは嚢胞隔壁の肥厚と壁在結節を認めた. 1995年9月幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行. 膵頭部に2cm径, 粘液を含有する嚢胞性腫瘤を認めた. 病理組織学的には分枝膵管に生じた非浸潤性膵管内乳頭腺癌で, 主膵管内への進展を認めた. 術後7年を経た2003年月 (66歳時) 下血と腹水貯留のため再入院. CEA 169.9ng/ml, CA19-9 10,495U/mlと上昇し, 腹水細胞診にて粘液と上皮細胞集塊を認めた. 前回手術検体の病理組織学的再検討にて剥離面近傍への癌浸潤が判明し, 腹膜再発と考えて全身化学療法を行ったが, 2003年2月死亡した. 剖検にてIPMNによる腹膜偽粘液腫と診断された.
