日本消化器外科学会雑誌
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消化器外科用POSSUMスコアの開発
田中 恒夫眞次 康弘石本 達郎香川 直樹中原 英樹福田 康彦田中 純子
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2007 年 40 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

目的: 手術のリスク評価の一つであるPhysiological and Operative Severity Score for the enUmeration of Mortality and morbidity(以下, POSSUM)の術後合併症発生率や死亡率は高く予測されるため, 多くの改良型が報告されてきた. 今回, 消化器外科全般で用いることのできるPOSSUMスコアを開発し, その精度を検証した. 対象・方法: 2002年1月から2005年12月までの4年間に施行した消化器手術1,573例を対象とした. 前半2年間(n=709)の成績より, 予測合併症発生率と予測死亡率の計算式の係数を変更しHiroshima POSSUM(以下, H-POSSUM)とした. 後半2年間の症例(n=864)において, 3種類のPOSSUMの精度を比較した. 精度は実際に観察された発生数を予測された発生数で除した比率 (以下, O/E ratio)で検討した. さらに, 6種類の症例構成を設定し, その有用性をO/E ratioで検討した.成績: 術後合併症発生率のO/E ratio はoriginal POSSUMでは0.78であり, H-POSSUMでは1.04であった. また, 死亡率のO/E ratio はoriginal POSSUMでは0.12, Portsmouth-POSSUMでは0.56, H-POSSUMでは0.94であり, H-POSSUMのO/E ratioが最も1.00に近似していた. 六つのシミュレーションにおいても, H-POSSUMの精度は他のPOSSUMより優れていた.考察: 新しく開発したH-POSSUMは消化器手術のリスク評価として有用である.

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