日本消化器外科学会雑誌
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医原性十二指腸乳頭損傷に対する1治験例
中村 淳大塚 隆生北島 吉彦中房 祐司宮崎 耕治
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2007 年 40 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

症例は36歳の男性で, 胃潰瘍による幽門狭窄に対して, 近医で幽門側胃切除術(Billroth-II法再建)を施行された. 術翌日から血清総ビリルビン値とアミラーゼ値の上昇を認め, 腹部CTで肝内胆管の拡張および膵腫大, 膵周囲の液体貯留を認めた. 閉塞性黄疸および重症急性膵炎の診断で, 経皮経肝胆管ドレナージ施行後, 当科紹介入院となった. 膵周囲貯留液のアミラーゼ値は262,000IU/Lと異常高値を示しており, これを経皮的にドレナージした. その後の精査で, 術中の自動縫合器による十二指腸乳頭損傷が判明した. 経過中, 途絶した膵管と十二指腸断端の間に瘻孔が形成されたため, 同部にT-チューブを挿入し, 内外瘻の状態とした. T-チューブ挿入から約3か月後には炎症が沈静化し, 膵瘻管空腸吻合術(Lahey-Lium法)および胆管空腸吻合術を施行した. T-チューブは術後7か月後に抜去し, 患者は社会復帰を果たしている.

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