日本消化器外科学会雑誌
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術前に診断しえた魚骨による十二指腸穿孔の1例
本邦報告例の検討
横山 貴司長尾 美津男高 済峯中島 祥介
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2007 年 40 巻 5 号 p. 587-592

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抄録

症例は62歳の男性で, 腹痛を主訴に前医を受診し, CTにて上腸間膜動脈周囲の脂肪織の混濁と, 血液検査にて炎症反応の上昇を認めたため, 入院加療されていた. 腹痛の増強と炎症反応のさらなる上昇を認めたため当院に転院となった. 当院で施行したマルチスライスCTではhigh densityな細長い線状陰影が十二指腸水平脚で十二指腸壁を貫通している像を認め, ブリの摂食歴があったことから魚骨の十二指腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した. 開腹すると十二指腸を穿孔した魚骨が腸間膜に穿通しており, 周囲の腸管には発赤と浮腫を認めた. 魚骨を摘出し穿孔部を閉鎖して, ドレーンを挿入した. 術後経過は良好であり術後11日目に退院となった. 十二指腸での穿孔・穿通例は本症例を含めて20例のみであり, これまでの報告例を集計し, 診断法や治療法について検討した.

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