日本消化器外科学会雑誌
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ビワの種子により続発性に十二指腸狭窄を来した1例
河岡 徹深光 岳池田 幸生長島 淳平木 桜夫福田 進太郎岡 正朗
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2008 年 41 巻 11 号 p. 1935-1940

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抄録

症例は80歳の女性で, 食後の無胆汁性嘔吐・食欲不振・上腹部膨満感を訴え, 受診した. CTで十二指腸下行脚内に約1×1.5cm大の全体がhigh densityに映る異物を認めた. 上部消化管内視鏡検査で乳頭のすぐ口側で十二指腸が膜様に強く狭窄していた. 保存的療法では改善しないと判断し, 手術を施行した. まず, 触診でミルキングを試みたが困難であったため, 十二指腸下行脚Vater乳頭対側に小切開を加え, 異物を摘出した. 異物はビワの種であり, 症状の出現する1か月前にビワを食べた既往があった. 種はVater乳頭付近で嵌頓していたが, その肛門側に狭窄はなかった. 膜様狭窄部はVater乳頭近傍に位置していたために膜自体は処理せず, 胃空腸吻合術を施行した. 術後経過は良好であった. ビワの種子はCTで全体が高吸収域として認められるため, 術前診断の一助となる可能性がある.

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