2003 年 44 巻 2 号 p. 101-105
出芽酵母において,外界の無機リン酸濃度の変化を敏感にキャッチして細胞内のリン酸代謝を巧みに制御する系としてPHOシステムが知られている.この制御系においてきわめて重要な役割を果たしているのは負の制御因子として発見されたPho85である.病原性酵母Candida albicansより当研究室で分離したプロテインキナーゼ遺伝子は解析の結果,出芽酵母のゲノム塩基配列におけるPho85との相同性(62% identity,アミノ酸レベル),イントロンの位置の類似性,出芽酵母pho85変異の相補性,Pho85と同様のATP結合ドメインおよびキナーゼドメインの存在,等の事実から出芽酵母PHO85のホモログ(CaPHO85)と結論された.