日本医真菌学会雑誌
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札幌市の一診療所における10年間(1992~2001年)の白癬菌相
芝木 秀臣芝木 晃彦
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キーワード: 白癬, 札幌市, 白癬菌相, 疫学
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2003 年 44 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

1992年から2001年までの10年間に来院した白癬患者の統計的観察を行い,前回の1982年から1991年までの報告1)と比較した.
1) 白癬患者数は5,530名,症例数6,798症例で,それぞれ総新患数の8.0%,9.8%,男女比は1.5:1であった.
2) 白癬症例6,798例中,足白癬65.8%,爪白癬20.7%,股部白癬7.2%,体部白癬3.9%,手白癬2.4%,白癬性毛瘡0.04%であった.
3) 二つ以上の病型を合併した患者は全白癬症例の35.8%であった.
4) 分離した白癬菌は3,795株で,Trichophyton rubrum (TR) 79.4%, Trichophyton mentagrophytes (TM) 19.5%, Microsporum canis 0.7%, Epidermophyton floccosum 0.3%, Microsporum gypseum 0.1%であった.
5) TR/TM比は全白癬では4.08,足白癬だけでは2.98である.
6) 前回の1982年から1991年までの報告と比較すると,総新患数にたいする白癬症例の割合は増加し,特に高齢者が増えている.病型別では足白癬,爪白癬が増え,股部白癬,体部白癬が減少している.今回は頭部白癬が来院していない.白癬菌ではTRが増加し,その他の菌全て特にMCが減少している.

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