日本鳥学会誌
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ラジオテレメトリーによるオオタカの位置の測定法
工藤 琢磨米川 洋池田 和彦
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2001 年 50 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

本研究はラジオテレメトリー法により北海道の平野に生息するオオタカの位置を高い精度で効率よく測定する方法を確立することを目的とした.まず,障害物の無い平坦地で,竹竿に固定した発信器からの電波の受信方位角を計測し,その誤差を算出した.次に,1羽のオオタカに装着した発信器からの電波の受信方位角を2ヵ所の固定測定点で測定した.これと同時に,オオタカの実際の位置を直接観察により特定し,受信方位角の誤差を求めた.また,2ヵ所の固定測定点からの交角法により測定されたオオタカの位置と実際の位置との距離を位置の誤差として算出した.さらに,発信器が装着されたオオタカを,発信器からの電波を頼りに車で探索した場合の,オオタカを探索し始めてからその位置を特定するまでの時間及び,その後オオタカの位置を特定し続けていた時間をそれぞれ記録した.竹竿に固定した発信器からの電波の受信方位角の誤差は正規分布し,平均7.7度であった.発信器をオオタカに装着した場合は,受信方位角の誤差は正規分布せず,その平均は約30度であった.また,2ヵ所の固定測定点から交角法によって測定されたオオタカの位置は実際の位置から平均1.9kmも離れていた.発信器からの電波を頼りに車でオオタカを探索した結果,20時間程度の調査時間のうち5割以上の時間,数メートル程度の誤差で位置を正確に特定し続けることができた.そして,調査期間を通して,これらのオオタカがどこにいても,発信器の電波を受信できなくなることは無かった.オオタカの生息場所利用を,モザイク状の景観を持つ日本の里山で特定するたあには誤差を数メートル程度に抑える必要がある.このためには,固定した測定点からの交角法ではなく,発信器からの電波を頼りに車でオオタカを探索する方法が適していることが示された.

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