2004 年 53 巻 2 号 p. 87-92
ラインセンサスと録音聴取によって記録された鳥の種数を比較することで,鳥の種のリスト作りに録音データが利用可能かどうかの検討を行った.2つの方法で共通して記録された多くの種の出現率は大きく,一方でのみ記録された種の出現率は2,3の例外を除いて小さかった.調査地内のランダムな地点での録音と固定点での録音の比較では,1回の録音で記録される種数に違いは認められなかった.記録開始からの経過時間と記録された累積種数との関係から,一定時間経過後にラインセンサスと録音によって記録される鳥の種数には,大きな違いがないことが明らかになった.これらの点から,均一な環境における種の数え上げには,録音が有効な手段となりうると考えられた.