栃木県藤岡町の渡良瀬遊水地で,2002年から2004年の3年間に,チュウヒとハイイロチュウヒの冬期の食性を塒で採集したペリットを分析することによって調査した.チュウヒでは296個のペリットから360例,ハイイロチュウヒでは299個のペリットから369例の獲物がそれぞれ確認された.チュウヒは大型鳥類(38.6%)や小型哺乳類(31.9%)を主に摂食するとともに小型鳥類(9.4%),中型鳥類(4.7%),中型哺乳類(2.8%),魚類(1.7%)とさまざまな獲物分類群を摂食した.一方,ハイイロチュウヒは小型鳥類が大部分(83.5%)を占めた.そのため,チュウヒの食性幅は3.07で,ハイイロチュウヒの1.53より幅広い食性をしていた.このような食性の違いは,2種における採食環境や採食行動,敏捷性などと関係していると考えられた.