日本植物病理学会報
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キウイフルーツかいよう病の発生生態
3. 新梢の病斑における細菌密度および飛散の時期的変化
芹澤 拙夫市川 健
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1993 年 59 巻 4 号 p. 469-476

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抄録

清水市駒越,沼津市西浦においてヘイワードを供試し, 5~12月に,キウイフルーツ葉のかいよう病病斑内細菌密度および病斑浮遊液中に溢出する細菌の濃度の時期的変化を継続調査した。分離前20日間の旬平均気温と細菌密度との関係をみると, 5月上旬(13~17°C)の106~7CFU/mlをピークに, 8月下旬(25~27°C)の100~1CFU/mlまで継続的に低下したが, 18°Cを越える頃(5月中旬~下旬)から低下が認められ始め, 6月上旬~7月上旬(20~24°C)に104~5CFU/mlから感染限界濃度の102~3CFU/mlまで急速に低下した。秋季に, 22~20°C(9月下旬~10月上旬)に低下する過程で細菌密度は回復し始め, 17~15°C(10月下旬~11月上旬)に低下する時期に急速に高まり6月の細菌密度に近づいた。その後さらに13~10°C(11月下旬~12月中旬)に低下した時期にも,引き続き高い細菌密度が保持された。以上から,本細菌の新梢における増殖適温は,おおむね10~20°Cの範囲と推察された。 5月上旬には病斑浮遊液中に,浮遊直後から106~7CFU/mlの高濃度で細菌の溢出が起こったが, 6月上旬には104~5CFU/ml以下に低下し, 5月に比べ溢出に時間を要するようになった。7~9月には溢出が認められなかったが,細菌密度に回復が認められた10月上旬の病斑では,再び溢出が認められた。11~12月には溢出病斑率,溢出濃度ともに高まったが,溢出濃度は102~3CFU/ml以下であった。

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