日本植物病理学会報
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水田におけるイネ紋枯病菌個体群構造の年次推移
郭 慶元小笠原 崇文荒川 征夫稲垣 公治
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2003 年 69 巻 3 号 p. 212-219

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抄録

1990-1994年および2000年に,約7aの水田内の40地点でイネ紋枯病菌菌株を採集した.体細胞和合性(vegetative compatibility)に基づいた個体群調査を行い,年次別のVCGの推移をみた.毎年,15-27種類のVCGが確認され,それらのうち約73-85% (11-23種類)がその水田に初めてみられるVCGで,前年以前に見られたVCGは約15-7% (4-6種類)と少なかった.2000年に確認された23種類のVCGのうち5種類(22%)は1990-1991年に既にその存在が確認されたものであった.また,調査期間中に確認された全VCG (131種類)のうち83種類(63%)が1地点のみに分布したが,水田の25-55%に及ぶ10-22地点と広範囲に分布するVCGも7種類(5%)あった.水田内で単年次にしか見られなかったVCGに比べて,2年以上残存するVCGは水田内での分布範囲が広かった.複数地点にわたって分布する共通VCGは,水田内に数ヵ所で坪状に確認される場合が多かった.

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