日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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気管内視鏡下粘液栓除去が必要となった脊髄性筋萎縮症I型の女児例
14年間にわたり長期管理中のSMAIの経過
港 敏則加地 倫子田口 和裕吉田 真策島 栄恵久松 千恵子前田 貢作
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2008 年 19 巻 2 号 p. 154-163

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抄録

脊髄性筋萎縮症 (以下SMAと略す) は, 運動ニューロンの変性疾患で, その臨床像は, 四肢と体幹部の近位筋の萎縮を特徴とする。そして呼吸筋の萎縮による呼吸障害の進行が生命予後に影響する。われわれは, 臨床経過と生後8カ月の筋生検でSMAI型と診断した女児例を経験した。本症例に対して2歳8カ月時に気管切開人工呼吸を導入, 3歳時に在宅医療へ移行し約11年間良好に経過した。14歳になり無気肺を発症, 内科治療で経過をみるも急速進行性に呼吸状態の悪化を認め, 気管内視鏡下粘液栓除去が必要となった。機序として原疾患の病態に加え, 寝たきりにより進行した側弯と気管軟化による気道の扁平化などが病態に関与したと考えた。現在, 粘液栓再発予防のため, 各職種が連携して呼吸管理を行い経過は良好である。

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