日本補綴歯科学会雑誌
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パラトグラム舌運動機能診断法をもとにした舌接触補助床による摂食嚥下障害者の治療
木内 延年河野 正司池田 圭介道見 登植田 耕一郎
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2003 年 47 巻 1 号 p. 135-144

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抄録

目的: 摂食嚥下障害者の多くは舌運動障害を認める. これらの症例について, パラトグラム法およびvideofluorography (VF) 法を用いて, 舌運動機能の診断法の検索と舌接触補助床の設計を行った.
方法: 測定対象は, 構音障害を認め摂食嚥下の準備期および口腔期の機能障害者, およびコントロールとして顎口腔系機能に異常を認めない健常者とした. パラトグラムは, 被験語「タ」, 「ナ」, 「ラ」, 「キ」発語時および唾液嚥下時を記録した. さらにVF装置を用いて, この4語発語時および唾液嚥下時の舌形態と, バリウムクッキーの摂食嚥下時の舌形態との共通点を観察した. これにより, パラトグラムによる摂食嚥下時の舌機能診断が可能であるか否かを検討した.
結果: クッキー咀嚼終了時点, 食塊形成時, および食塊形成終了時点の舌形態は, 被験語「タ」, 「ナ」, 「ラ」発語時の舌形態と酷似していた. また, クッキー嚥下終了時点の舌形態は, 被験語「キ」発語時および唾液嚥下時の舌形態と酷似していた.
結論: 本研究で用いた被験語発語時および唾液嚥下時のパラトグラム像により, 摂食嚥下時の舌運動機能診断ができることが明らかとなった. さらに, 患者群にこのパラトグラムによる舌運動機能診断法を応用した舌接触補助床を製作したところ, 食塊形成能力および嚥下機能の向上に有効であった.

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