日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
手動超音波併用乳癌検診の50歳未満受診者に対する有効性の検証
土屋 十次浅野 雅嘉立花 進川越 肇熊澤 伊和生名和 正人右納 隆橋本 英久
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 52 巻 2 号 p. 190-197

詳細
抄録

15年間における手動超音波併用乳癌検診 (以下, US併用検診) で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した.
組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している.
15年間を5年毎の3期に分け腫瘤径を検討したところ, このUS併用検診の経年的腫瘤径縮小効果が示唆された. 即ち, 微小腫瘤径乳癌が多くなった結果, 非触知乳癌症例が集検例の26.6%を占めるうえにその72.3%が浸潤癌症例であったことが判明した. これを更に年齢別に見ると, 50歳未満の群ではその乳腺の硬さから50歳以上の群に比して非触知乳癌症例比率が多くなって30.2%を占め, その69.2%が浸潤癌症例であった. 視触診検診のみの検診ではこれらは見落とし例となり, 増加しつつある50歳代の乳癌死 亡率を更に増悪させることになるので, これを抑制するために50歳未満の若年受診群に対して安全で有効なUS併用検診を早急に導入することを提言する.

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top