日本臨床麻酔学会誌
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術前にIABPを挿入し,麻酔管理を行なった拡張型心筋症の1例
塩浜 恭子吉岡 斉弘田 博子長谷 浩吉
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1994 年 14 巻 10 号 p. 798-801

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抄録

高度の心機能低下を示した拡張型心筋症(DCM)患者の胃切除術の麻酔管理を経験した.術前の心機能の評価で心エコー上左室駆出率が17%と非常に低下していたため,麻酔中の低血圧に対して麻酔導入前に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を用意のうえ,麻酔管理を行なうことで患者と家族の麻酔の同意を得た.麻酔方法は硬膜外モルヒネ持続注入とフェンタニールーミダゾラム-笑気麻酔で行なった.導入時に血圧低下が生じたため,昇圧剤に加えてIABPを作動させた.それにより血圧は上昇,安定し,その後の循環動態は周術期を通じて良好に維持された.DCMも含め,高度の心機能低下の症例には術前にIABPの挿入を考慮する必要があると思われた.

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