日本臨床細胞学会雑誌
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限局性胸膜中皮腫の1例
26年間の経過とその細胞病理学的所見
小池 昇浅見 英一坂井 義太郎
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1992 年 31 巻 3 号 p. 516-521

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抄録

26年間の経過を経て死にいたった限局性胸膜中皮腫の1例を報告し, その細胞病理学的所見を述べた.症例は保険外交員の女性.1963年 (38歳時), 右胸膜の限局性中皮腫の摘出術を受けた.1975年 (50歳時) 低血糖とともに同側に再発した腫瘍が指摘され, 腫瘍の切除術を受けた.以後合計5回の再発, 切除を繰り返し, 1989年 (65歳時) 再発, 転移 (両肺, 後腹膜) により死亡.剖検により悪性胸膜中皮腫, 線維型と確認された.経過中の1978年, 1984年, 1988年に腫瘍から得られた穿刺細胞診および捺印細胞像を比較検討した.腫瘍細胞は散在性に出現する紡錘形の非上皮型細胞で, その異型性ことに核大小不同は経過とともに有意に増大した (P<0.01).また経過とともに上皮型腫瘍細胞の出現したことも注目に値する.

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