ホルモン補充療法での子宮内膜変化を細胞診と組織診で照合検討した.対象は細胞診と組織診が同時に実施された良性69例, 異常15例 (不規則増殖像13例, 単純型内膜増殖症2例) 計84例.またホルモン投与方式別内訳は,(1) エストロゲン単独周期性16例,(2) エストロゲン・プロゲスチン周期性52例,(3) 同持続性16例であり, 各方式別に細胞診での腺管の形態, 出現性, 最大拡張腺管直径線上核数などを検討した.良性例において上記 (1) の方式では組織診が萎縮像または増殖期, 細胞診ではシート状被覆上皮と繊毛円柱上皮化生の共存.(2) の方式では, 投与周期前半の組織診は増殖期であり, 細胞診では細長腺管が出現.また中後半での組織診は分泌期, 細胞診では核下空胞を伴う短腺管.(3) の方式での組織診は萎縮像, 細胞診では腺管は少なく, 織の有るシート状被覆上皮に萎縮細胞の混在する像がみられた.一方, 異常例の細胞診では, 40個以上の最大拡張腺管直径線上核数, 腺管突出-分岐像, 腺管密集像および腺管付着間質共有像を認め, さらに単純型内膜増殖症では不規則拡張蛇行腺管を認めた.これらの異常所見はホルモン補充療法での内膜異常を細胞診で早期に検出する際の有用所見と考えられた.