日本臨床細胞学会雑誌
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子宮外原発悪性腫瘍に対する子宮内膜吸引細胞診の検討
田中 尚武平井 康夫竹島 信宏楯 真一岡野 滋郎南 敦子都竹 正文山内 一弘関谷 宗英荷見 勝彦
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2000 年 39 巻 3 号 p. 131-136

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抄録

目的・対象: 過去9年間に癌研病院にて, 子宮内膜吸引細胞診により悪性細胞が検出された子宮外臓器由来腺癌37例 (乳癌10例, 卵巣癌9例, 胃癌6例, 卵管癌3例, 直腸癌3例, 結腸癌3例, 膵癌2例, 胆嚢癌1例) を対象とした.全症例に膣プールスメア (V), 子宮膣部 (C), 子宮頸部 (E) 擦過細胞診を同時に施行した.また, 37例全例について子宮内膜病理組織検査を施行し, 37例中13例 (35.1%) に子宮内膜転移が確認された.そこで子宮内膜転移例と非転移例における細胞診断学的特徴を明らかにすることを目的として各細胞診標本を見直した結果, 以下の知見を得た.
結果:(1) 内膜転移例では13例中4例 (30.8%) に腫瘍性背景が存在したのに対し, 内膜非転移例24例では全例腫瘍性背景を認めなかった (p<0.05).(2) VCEスメアへの癌細胞の出現は内膜転移例では13例中10例 (76.9%) であったのに対し, 内膜非転移例では23例中6例 (26.1%) と内膜転移例に比し有意に低率であった (p<0.05).(3) 内膜転移例では13例中12例 (92.3%) に細胞集塊に「ほつれ」所見があるのに対し, 内膜非転移例24例中4例 (16.7%) と内膜転移例に比べ有意に「ほつれ」所見の陽性率は低率であった (p<0.05).
結論: 以上より子宮外腫瘍由来と考えられる悪性細胞を認める症例の子宮内膜吸引細胞診において, 腫瘍性背景の有無および細胞集塊にみられる「ほつれ」所見の有無により子宮内膜転移の有無を推定しうることが示唆された.

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