日本臨床細胞学会雑誌
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唾液腺の細胞診: 顆粒状細胞質を示す病変の鑑別について
推定病変と組織診断不一致例の検討より
渋田 秀美光野 彩子岡村 宏佐久間 暢夫日吉 正明亀井 敏昭越川 卓
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2002 年 41 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

目的:唾液腺穿刺吸引細胞診の有用性について検討し, さらに穎粒状細胞質を示す病変について, 細胞学的鑑別点を明らかにする.
対象および方法:1994年から1999年に山口県立中央病院で唾液腺穿刺吸引細胞診を行い, 組織像との比較が可能であった73例を対象にした.(1) 細胞診での推定病変と組織診断の不一致例の細胞像を再検討し, 不一致の原因を検討した.(2) 顆粒状細胞質を示す病変については, 出現細胞を好酸性細胞と腺房細胞に大別し, その鑑別点について検討した.
結果:(1) 推定病変と組織診断の一致率は84.9%, 良悪性の一致率は97.3%であった. 不一致の原因は細胞像把握ミスが6例, 病変推定困難が5例であった.(2) 好酸性細胞と腺房細胞の鑑別において, 前者で細胞質内顆粒が大きく, 分布が均等で密であった. 後者では細胞境界が明瞭で, 出現細胞間で細胞質所見に差がみられた.
結論:唾液腺穿刺吸引細胞診は, 高い精度をもって, 病変推定が可能である. 顆粒状細胞質を示す病変の推定に関しては, 好酸性細胞と腺房細胞を, 細胞質の詳細な観察により鑑別することで, より正確な病変推定が可能である.

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