2002 年 15 巻 4 号 p. 399-412
本研究では,水質解析への応用を目的とし,長短期流出の再現性を重視して,山林小流域へのTOPMODELの適用について検討した.適用結果について,長短期流出両用モデル(LST-II)との比較を行った.この結果,長期流出の再現性ではLST-IIが最良であった.ただし,洪水波形を重視した短期流出においては,速い中間流出の発生を考慮した修正TOPMODELが最良である.長短期流出の再現性は相対誤差を除き,修正TOPMODELとLST-IIで同程度であるが,パラメータ数とモデル内部の貯留部の数が少ないことから,修正TOPMODELが水質モデリングのフレームモデルとして有利であると考えられた.また,TOPMODELの地表流追跡計算で,流下経路を最大傾斜方向のみ考慮する方法と全傾斜勾配方向を考慮する方法が考えられたが,TOPMODELを小流域に適用する場合では最大傾斜方向について評価すれば十分であることが確認された.