1997 年 20 巻 1 号 p. 24-29
黒毛和種の肥育雌牛でみられた総胆管周囲の限局性脂肪壊死症により、閉塞性黄疸を呈した2症例について記載した。症例1は31ヵ月齢、症例2は34ヵ月齢でいずれも初診時に可視粘膜に著明な黄疸が認められた。血液検査では、いずれも直接型ビリルビンの増加に伴う総ビリルビン量の増加、およびγ-GTP活性の上昇など閉塞性黄疸の所見が見られた。どちらの症例も血清ビタミンA、β-カロチンが低値を示して、症例2では、アミラーゼ、リパーゼが高値を示した。病理学的には、いずれの症例も総胆管周囲に限局した脂肪壊死が認められ、それに起因する閉塞性黄疸と診断された。