日本家畜臨床学会誌
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乳牛の分娩前後におけるルーメン環境の変化と血液および乳成分の推移
西森 一浩石川 敦洋岡田 珠子高畑 幸子深谷 敦子白石 俊哉信戸 一利生田 健太郎岡田 啓司安田 準
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2003 年 26 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

乳牛の分娩前後における飼料の変化はルーメン環境を大きく変化させ、代謝病の発生や生産性低下の要因となっている。本試験ではそれらの実態を明らかにするため、分娩前後におけるルーメン環境の変化と、それによる血液および乳汁成分の変化を検討した。Total Mixed Rations (TMR)を給与しているフリーストール牛群で、乳期移行時の飼料中粗飼料割合(粗濃比)の変化が大きい農家(A群)と変化が少ない農家(B群)から臨床的に健康な成乳牛を5頭ずつ抽出し、乾乳前1週(乾乳前)、乾乳後1週(乾乳前期)、乾乳後1ヶ月(乾乳中期)、分娩予定前1週(乾乳後期)、分娩後1、2、3、4および8週に血液およびルーメン液、乳汁の採取を行った。乳期移行時の粗濃比の変化の大きさを反映し、ルーメン液中アンモニア濃度、血中尿素窒素濃度はA群がB群に比べて高値を示し、A群では分娩後に大型オフリオスコレックスが消失した。βヒドロキシ酪酸はA群がB群に比べて低値で推移する傾向が見られた。乳脂率はA群がB群に比べ低値を示した。以上より乳期移行時における粗濃比の変化を大きくすることは生産性低下の要因になると考えられた。

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