白内障による視力の低下と,視野の沈下の関係を検討するために,自内障手術前後に視野検査を施行した43例52眼を対象とした。全例白内障以外の合併症がなく,術後視力は1.0以上であった。視野は,ハンフリー自動視野計の中心24-2の閾値検査およびゴールドマン視野計による動的量的視野検査で測定した。
ハンフリー視野では,視力の低下にともなって,total deviationは全体的に沈下したが,pattern deviationが深い沈下を示すことは少なかった。視力は,fovea threshold, mean deviation,およびtotal deviationからpattern deviationへ変換する際の値と相関した。ゴールドマン視野では,視力の低下は,イソプターの求心性狭窄と,時にはマリオット盲点の拡大をもたらした。後嚢下混濁のある場合,イソプターの欠損や暗点が見られることが多かった。
白内障の合併した視野を評価する場合,今回示された白内障により引き起こされる視野変化の特徴を考慮する必要があると考えられた。