1996 年 21 巻 2 号 p. 213-215
植物病原 Bipolaris bicolor の生産する植物毒素コクリオキノン類のミトコンドリア電子伝達系に対する作用を, ウシ心筋およびジャガイモ塊茎より調整した酵素系を用いて検討した. コクリオキノン類は電子伝達複合体I~IVのうちIの活性を阻害し, 速度論的解析から阻害部位はキノン還元部位であることが明らかとなった. 他の複合体に対しては実質的な阻害作用は認められなかった. 複合体I~IVがいずれもキノン還元部位をもつことを考慮すると, コクリオキノン類は複合体Iのキノン還元部位との相互作用に適した立体構造を有するものと考えちれた.